通関士のキャリアプランと身につくスキル

グローバル化が進む現代において、国際物流はその重要性を日増しに高めています。そんな国際物流の舞台で中核的な役割を担うのが通関士です。通関士はモノが国境を越える際に必要となる税関への申告など、通関関連の手続きを取り扱う専門家です。本記事では、通関士のキャリアパスをご紹介します。

ロジスペースの転職情報

ロジスペースでは、国際物流に特化した転職支援サービスに加え、職種別の転職情報の提供も行っています。詳しくは「通関士職の転職情報」をご覧下さい。

通関士ってどんな仕事?

通関士は、輸出入される貨物や商品の通関手続きを行う専門職です。関税法や税規制を熟知し、輸出入に伴う申告、関税・税金の計算、税関の審査対応と承認手続きに加えて輸送手配やコンプライアンスの管理など、専門知識を活かして幅広く業務に携わります。また、通関士は国際物流のスムーズな運行に欠かせない業種であるため、通関士試験(国家資格)に合格した人材のみが就ける職種となっています。

通関士は将来的にも需要のある職業

国際貿易市場やグローバルサプライチェーンの複雑化、通関手続きのデジタル化などが進む現在、複雑な法規則やシステムの理解、トラブル対応へ対応する為には通関士の専門知識が不可欠となります。また国家資格である通関士は、人材間での競争率にも一定の制限が掛かるため、取得さえできれば長期に渡って重宝されるキャリアパスを構築する事が可能となります。

通関士に向いている人

通関士に向いている方の特徴を5つにまとめてみました。

  1. 国際物流(貿易)エリアで専門性を伸ばしていきたい方
  2. 法律や規則など法的な文書の理解が得意な方
  3. 正確に手続きを進めるのが得意な方
  4. 状況に合わせて冷静かつ正確に判断を下せる方
  5. 英語(外国語)を仕事で使いたい方

もちろん全てが当てはまる必要はありませんので、通関士職がどんなお仕事かイメージする上での参考程度にご覧下さい。

通関士のキャリアパス

通関士として働くには「通関士資格」の取得が必要となります。その為、多くの人材は貿易事務や輸出入担当として実務経験を積みながら通関士資格の取得を目指します。通関士資格取得後は商品や業界に合わせた専門性を構築したり、海外プロジェクトに携わるなどしてキャリアを進めていきます。

通関士資格の取得前

メーカーや商社、通関業者、フォワーダーなど通関業務を必要とする企業で実務経験を積んでいきます。エントリーレベルの人材は、簡単な書類作成や申告業務のサポートからスタートし、徐々に複雑な業務を担当できるようなっていきます。

通関業務を行う上で通関士の資格は必須ありませんが、より専門的な通関業務を担当する人材に対しては、企業側も通関士資格を採用条件とする場合が多くなります。その為、通関士を目指す方はアシスタント業務に携わりながら通関士取得に向けた勉強を行うのが一般的です。

通関士資格の取得後

通関業務において、特定の商品や業界に特化した専門知識を深めることが、自身の市場価値を高めることに繋がります。例えば、医薬品や食品などの特定分野における通関手続きでは、一般的な商品とは異なった専門的な知識が必要となります。また、実務経験を積んで専門性を高めた通関士は、チームリーダーやマネージャーへとキャリアアップすることが期待され、人材育成や案件の割り振り、進捗管理などの広範な業務を担うことになります。

大手物流会社や多国籍企業で雇用された通関士は、日本国内だけでない国際的なプロジェクトに携わる事もあります。特に海外勤務のように直接海外の市場に触れられる場合は、通関士としての視野が広がり、国際的キャリアパスを築く基盤にもなっていきます。

また、通関士の中には他の職種への転身を行ったり、独立して自身で通関業務のサービスを提供する方もいらっしゃいます。特に豊富な実務経験と国際感覚を兼ね備えた通関士は、物流コンサルタントとして企業の物流戦略の策定や業務改善提案など、より戦略的な部分へ活躍の場を広げていきます。

通関士のキャリアプランで重要なのは?

専門知識の習得と更新

関税法や貿易関連の法規制は頻繁に変更されるため、最新の知識を常に学び続けることが重要です。また、通関士は国家資格ではあるものの、キャリアの方向性や所属する企業の業界に応じて追加の資格を取得する事もキャリアアップ時のアドバンテージとなります。

実務経験の積み重ね(実践スキルの構築)

輸出入の手続きやトラブル対応など、様々な実務経験を積むことで実践スキルを磨きます。また、特定の業界や商品に特化した実務経験を積み重ねる事は専門性の獲得に繋がりキャリアアップ時のアドバンテージにもなります。

まとめ

通関士のキャリアパスは、通関士資格の取得を始めとする専門性の追求と実務経験の獲得によって高いレベルへと進んでいきます。また、資格+専門性が必要となる通関士は、必然的に人材としての価値も高くなりやすく、国際物流において継続的に重宝されるキャリア形成となります。