デジタルフォワーダーとは?従来型フォワーダーとの違いや仕事内容を解説

日本の物流業界では、人手不足や輸送力不足への対応を背景に、業務効率化やデジタル化の重要性が高まっています。2026年度から2030年度を対象とする「総合物流施策大綱」でも、物流に携わる関係者の連携・協力による物流標準化と物流DX・GXの推進(輸配送データの連携やAIを活用した配車・運航計画の最適化、自動倉庫など)が主要施策の一つとして掲げられています。

こうした物流DXの流れは、国内配送や倉庫だけでなく、国際物流の分野にも広がっています。その中で注目されているのが、デジタル技術を活用して国際輸送サービスを提供する「デジタルフォワーダー」です。

この記事では、デジタルフォワーダーとはどのようなサービスなのか、従来型フォワーダーとの違いを整理しながら、営業・オペレーションの仕事内容や求められるスキルについて解説します。

デジタルフォワーダーとは?

デジタルフォワーダーとは、デジタル技術を活用して国際輸送の手配や管理を行うフォワーダーです。基本的な役割は従来型フォワーダーと同じで、荷主から輸送依頼を受け、船会社や航空会社、トラック会社、通関業者などと連携しながら貨物を出発地から目的地まで輸送します。

大きな特徴は、これまで担当者が個別に行ってきた業務の一部をシステム上で処理し、輸送に関する情報を一元的に管理できる点です。デジタルフォワーダーでは、フォワーダー側が自社の物流プラットフォームや顧客向けポータルを用意し、営業・オペレーション担当者だけでなく、顧客も同じシステムを利用するケースがあります。

サービスによって異なりますが、例えば次のような機能があります。

  • 輸送見積もりの取得・依頼
  • 船便・航空便の検索
  • 輸送予約
  • 貨物の進捗確認
  • 輸送書類の管理
  • 請求情報の確認
  • 輸送データの可視化

顧客側にとっての大きな違いは、担当者へメールや電話で確認しなくても、見積もりや輸送状況、書類などをオンライン上で確認・管理できることです。例えば、複数の輸送案件を一つの画面で確認したり、過去の輸送履歴や書類を参照したりできるため、社内での情報共有もしやすくなります。

一方で、輸送トラブルへの対応や複雑な輸送条件に関する相談まで、すべてがシステム上で完結するわけではなく、必要に応じて各顧客担当者が調整や提案を行います。

物流SaaSとは違う?

デジタルフォワーダーは「物流SaaS」とは異なります。物流SaaSは、荷主や物流会社に対して業務管理システムなどを提供するサービスです。一方、デジタルフォワーダーは、自らフォワーダーとして実際の国際輸送サービスを提供します。

つまり、物流SaaSでは「システムを提供すること」がサービスの中心ですが、デジタルフォワーダーでは「国際輸送サービスを提供すること」が中心であり、その輸送サービスを効率的に利用・管理するためにデジタルシステムを活用している点が大きな違いです。

従来型フォワーダーとの違い

デジタルフォワーダーと従来型フォワーダーでは、貨物を運ぶ仕組みそのものに大きな違いがあるわけではありません。どちらも船会社や航空会社などから輸送スペースを確保し、必要に応じて通関や国内配送を組み合わせながら国際輸送をコーディネートします。

主な違いは「案件情報の管理方法」や「顧客との情報共有の方法」にあります。

項目 従来型フォワーダー デジタルフォワーダー
見積もり メール・電話などで依頼 オンラインで取得・依頼できるケースが多い
輸送手配 担当者を通じて手配 システム上で手配できるケースもある
輸送状況の確認 担当者へ問い合わせ ダッシュボードなどで確認
書類管理 メール・共有フォルダなど クラウド上で一元管理
顧客との情報共有 担当者を中心に実施 システムと担当者の双方を活用
データ管理 Excelなどを利用するケースも多い 輸送データを蓄積・可視化

ただし、従来型フォワーダーでも近年デジタル化が進んでいて、大手フォワーダーを中心に、オンラインでの見積もり、貨物追跡、電子書類管理などを提供する企業も増えています。そのため、現在は「デジタルフォワーダー」と「従来型フォワーダー」を完全に二分することは難しくなっています。

なぜ「デジタルフォワーダー」という言葉がある?

「デジタルフォワーダー」という名称は、従来のフォワーディングサービスに加えて、顧客向けのデジタルプラットフォームやクラウドサービスを一体で提供する事業者を区別するために使われるようになった言葉です。

従来型フォワーダーでもデジタル化は進んでいますが、デジタルフォワーダーでは、オンラインでの見積もりや輸送状況の可視化、書類管理、輸送データの蓄積・活用などをサービスの中心的な機能として提供している点に特徴があります。

そのため、「デジタルフォワーダー」はフォワーダーとは別の業種を指すものではなく、デジタル技術を前提としたサービス設計を特徴とするフォワーダーを表す呼び方と考えると分かりやすいでしょう。

営業・オペレーションの仕事はどう変わる?

デジタルフォワーダーでも、営業やオペレーションといった基本的な職種は従来型フォワーダーと大きく変わりません。

営業担当者は顧客の物流課題を把握し、海上輸送や航空輸送など最適な輸送方法を提案します。オペレーション担当者は、船会社や航空会社、通関業者、国内配送会社などと連携しながら、実際の輸送を進めます。

一方で、システムによって一部の定型業務が効率化されることで、営業・オペレーション担当者が担う役割には変化が生まれます。

業務面での違い

従来型のフォワーディング業務では、見積もり作成、スケジュール確認、貨物の進捗確認、書類送付など、多くの業務を担当者が個別に対応します。案件数が増えるほどメールやExcelで管理する情報も増え、情報を整理したり、社内外へ転記したりする作業に多くの時間を使うことがあります。デジタルフォワーダーでは、こうした定型業務の一部をシステム上で処理できます。

例えば、案件情報や輸送書類を一つのプラットフォーム上で管理できれば、複数のメールやファイルから必要な情報を探す作業を減らすことができます。また、貨物の進捗状況を顧客自身が確認できれば、担当者が同じ情報を個別に連絡する回数を減らすこともできます。

その結果、営業やオペレーション担当者は、情報の転記や単純な確認作業だけではなく、輸送上の問題への対応や顧客への改善提案などに、より多くの時間を使いやすくなります。

顧客とのやり取りの違い

デジタルフォワーダーでは、顧客とのコミュニケーションがなくなるわけではありません。むしろ、定型的な情報提供をシステムで行えるようになることで、人が対応するコミュニケーションの内容が変化します。

国際物流では、船の遅延、フライト変更、港湾混雑、通関上の問題など、予定通りに進まないケースもあります。こうした問題が発生した場合、システム上で状況を確認できたとしても、その後の対応には担当者の判断や調整が必要です。営業担当者についても、単に運賃を提示するだけでなく、顧客の輸送実績やリードタイム、輸送ルートなどのデータを見ながら、物流改善を提案する役割がより重要になる可能性があります。

そのため、デジタル化によって顧客対応そのものが減るというよりも、単純な情報伝達から、調整・提案・問題解決を中心としたコミュニケーションへ変化していくと考える方が適切です。

使用するツール・システムの違い

デジタルフォワーダーでは、自社開発の物流プラットフォームやクラウド型の業務システムを利用するケースが多くあります。

営業担当者であれば、顧客情報や商談状況を管理するCRM、見積もりシステム、輸送データを確認するダッシュボードなどを使用することがあります。また、オペレーション担当者であれば、輸送案件の管理、書類共有、貨物の進捗確認などを一つのシステム上で行うことがあります。そのため、メールやExcelだけで仕事を進めるのではなく、複数のシステムやデータを活用しながら業務を行うことが一般的です。

一方、国際物流では船会社や航空会社、通関業者、トラック会社など、多数の外部企業と連携します。すべての関係者が同じシステムを利用しているわけではないため、デジタルフォワーダーであってもメール、電話、Excelなど従来から使われているツールが完全になくなるわけではありません。

求められるスキル

デジタルフォワーダーでも、フォワーディング業務の基本となる知識は重要です。海上輸送や航空輸送の仕組み、貿易書類、通関、インコタームズ、輸送スケジュールなどの知識は、従来型フォワーダーと同じように必要になります。

国際物流の実務知識を土台とした上で、デジタル化された「環境に対応する力」が加わるイメージです。

従来型のフォワーダーに加えて求められるスキル

まず重要になるのが、デジタルツールへの適応力です。デジタルフォワーダーでは、新しいシステムや業務フローが導入されることも多いため、従来のやり方だけにとらわれず、新しい仕組みを理解し、業務に取り入れていく姿勢が求められます。

ただし、エンジニアのような高度なITスキルが必要というわけではありません。重要なのは、システムやデジタルツールを使いこなし、業務の効率化や改善につなげるテクノロジー活用力です。

特に営業職では、輸送実績やリードタイム、運賃、輸送ルートなどのデータが蓄積・可視化されることで、これまで担当者の経験や感覚に頼っていた判断を、データに基づいて行いやすくなります。そのため、蓄積された情報を読み取り、顧客への提案や物流改善に活用する力も重要になります。

従来型フォワーダー経験者は経験を活かせる?

従来型フォワーダーでの経験は、デジタルフォワーダーでも十分に活かすことができます。デジタル化が進んでも、実際に貨物を運ぶためには船会社や航空会社、通関業者、トラック会社など多くの関係者との調整が必要です。また、輸送トラブルが発生した際には、フォワーディングの知識や過去の経験をもとに状況を判断する必要があります。

そのため、海上輸送・航空輸送のオペレーション経験、顧客対応、通関知識、輸送手配などの実務経験は、引き続き大きな強みになります。一方、デジタルフォワーダーへの転職を考える場合は、「どのような輸送業務を担当してきたか」だけではなく、

  • 業務をどのように効率化したか
  • 新しいシステムやツールをどのように活用したか
  • 顧客の課題に対してどのような改善提案を行ったか
  • 社内外の情報共有をどのように改善したか

といった経験も整理しておくとよいでしょう。例えば、Excelを使った業務改善、新しい基幹システムの導入、業務フローの見直し、データを使った顧客提案なども、デジタルフォワーダーで活かしやすい経験です。

フォワーディングの実務知識を持ちながら、新しいツールや業務プロセスにも柔軟に対応できる人材は、今後の物流業界でも活躍の幅を広げやすいでしょう。

まとめ

日本の物流業界では、人手不足などを背景に業務効率化が求められており、国の物流政策でもデジタル化・自動化や物流DXの推進が重要なテーマとなっています。デジタルフォワーダーは、こうした流れの中で、国際物流における見積もり、案件管理、貨物追跡、書類管理、顧客との情報共有などをデジタル化する事業者です。

従来型フォワーダーとの大きな違いは、貨物を運ぶ仕組みそのものではなく、情報をどのように管理し、顧客や社内でどのように共有するかにあります。そのため、デジタル化が進んだからといって、フォワーディングの専門知識が不要になるわけではありません。むしろ、国際物流の実務経験を持ちながら、デジタルツールやデータを活用し、業務改善や顧客提案につなげられる人材が求められるようになっています。

ロジスペースでは、フォワーダーをはじめとする国際物流・貿易関連の求人を取り扱っています。これまでのフォワーディング経験を活かしながら、新しい物流サービスやデジタル化が進む環境で働きたい方は、ぜひ求人情報もチェックしてみてください。