調達・購買職の仕事内容
調達・購買職とは企業活動において必要となる原材料や部品、機器、備品、サービスなどの調達を行う職種です。調達職と購買職は同義のものと混同されがちですが2つの職種は厳密には異なる部分があります。 調達とは「必要なモノを適切なタイミングで送り届けたり、使用できるように購入したり、借りたりして準備すること」であるのに対し、購買は純粋に「必要なモノを買い揃えること」を意味します。共に「必要なモノを準備する活動」であるものの、調達はその手段は問わず購買よりもより広義な概念と言えます。

直接材と間接材

調達・購買において調達する資材・サービスは直接材と間接材に区分されます。重要な概念となるため、ここで確認しておきましょう。

直接材

製品を製造する際に直接的に使用される材料のことを指します。自動車の場合、エンジン、ボディ、タイヤなどが直接材にあたり、製品の機能を実現するために必要な部品や原材料となります。

間接材

製品を製造する際に必要ながら、直接的に使用されない材料のことを指します。例えば、工場で使用される電気、ガス、事務用品、潤滑油、梱包材などが間接材にあたります。

調達・購買職の業務内容

一般的な業務プロセスは需要予測に基づき生販在計画(PSI)やS&OPを作成し、更にそれらを製品単位毎のマスター生産計画(MPS)や製品生産のために必要な原材料などを特定した資材所要量計画(MRP)などに落とし込む計画業務からスタートし、これらの計画に則して実際の資材調達や生産活動が行われます。 調達・購買職の業務は主にMRPに基づいた原材料や部品、機器などの調達となり、具体的には下記のような業務を担当します。

仕入先の選定・管理

適切な仕入先を選定し、価格や品質、納期、貿易条件などを交渉して、商品やサービスを調達します。また、仕入先との契約や納期管理なども行います。

調達プロセスの管理

発注、受注、支払いなどの調達プロセス全般の管理を行い、スムーズな調達を実現します。調達のスケジュール管理や、品質チェックなども担当します。

物流・在庫管理

調達した商品やサービスを適切なタイミングで倉庫や配送センターに納入し、在庫管理を行います。在庫の状況に応じて、再調達や在庫削減の施策を検討することもあります。

コスト管理

調達においてコスト管理は非常に重要なポイントです。予算内で調達を行い、コスト削減にも取り組みます。また、調達品目の分析を行い、効率的なコスト管理に貢献します。

品質管理

調達品目の品質についても管理を行い、品質管理の仕組みを構築します。仕様書や品質基準の設定、仕入先との品質管理に関する調整も担当します。

市場調査・分析

市場の動向やトレンド、商品やサービスに関する情報を収集し、競合分析を行います。これにより、企業の競争力を高めるための調達戦略を立てます。

その他の業務

社内の関連部署と連携し、企業全体の業務効率化や業務改善に取り組みます。また、調達に関する各種報告書の作成や、会議への参加なども行います。

調達・購買職に求められる役割

コスト削減(CD:Cost Down)

企業にとって必要な商品やサービスを、適正な価格で調達することが求められます。そのためには、仕入れ価格の交渉や競争入札などを活用し、コスト削減に努める必要があります。原価を抑えることは自社製品の価格競争力強化や利益構造の改善にも繋がるため、非常に重要な役割を担います。

バリューエンジニアリング(VE:Value Engineering)

バリューエンジニアリング(VE)とは、開発から製造の一連の工程の各段階において、機能や品質を維持しながらコストを削減する、もしくはコストは維持し品質向上を図る手法です。コスト削減のみならず、商品やサービスの品質管理を担当し、仕入先の品質管理体制の確認や、品質基準の設定、検査方法の確立などを遂行します。VEにより自社製品に更なる競争優位性をもたらすことが期待されます。

リスクマネジメント

グローバル規模でのサプライチェーン構築が加速し、複雑性が増す昨今において自然災害、感染症、戦争や政治情勢の影響により、必要資材の供給網が分断されるリスクが増加しています。調達・購買職は、市場動向や国際情勢などを考慮した仕入先の選定や評価を行い、仕入先の分散などにより、これらのリスクを回避することが求められます。

調達・購買職で求められるスキル

交渉力

サプライヤーとの交渉において、価格や品質、納期などの条件を最適化するために交渉は避けられません。製品の競争力や顧客満足度に大きな影響を及ぼすため、社内外の関係者と良好な関係を築き、双方の利害を中長期的な視点に立ち、取りまとめる能力が求められます。

分析力

市場動向や競合他社、国際情勢に合わせて最適な仕入先を開拓する必要があり、過去の調達データなどを紐解き、調達戦略の策定・改善や調達効率の向上に役立てる能力が求められます。

プロジェクトマネジメント能力

調達・購買職は限られた納期や予算の中で定められた原材料、資材などを調達することが役割です。多くの場合、複数の原材料調達を並行して行うため、各々のプロセスを適切に管理し、業務を遂行することが求められます。