SCM職の仕事内容
SCM職は、Supply Chain Management(サプライチェーンマネジメント)の略称であり、企業の調達、生産、物流、販売に至る一連のサプライチェーンを総合的に管理し、効率的な物流・サプライチェーンを実現する職種です。自社内のみならずサプライヤーや顧客と連携した広域なサプライヤーチェーン全体での最適化を図ることが求められます。

SCM職の業務内容

一般的にSCMは「サプライチェーンネットワークデザイン」、「計画業務」、「実行業務」、「管理業務」の4つの業務に分類されます。企業によっては各業務を細分化し、それぞれの業務に特化した部門を設置する場合があります。

サプライチェーンネットワークデザイン

製品の製造拠点や配送ルート、倉庫の配置、在庫配置、輸送方法など企業活動の基盤を構築する業務です。これらのネットワークは一度定めると容易に変更することができません。また、製品供給のリードタイムやコスト構造に大きな影響を与えるため、ひいては顧客満足度や企業の競争力の源泉となります。

計画業務

企業戦略や過去の売上データに基づき需要予測を立てることから始まり、生販在計画(PSI)やS&OPの作成、更にそれらを製品単位毎のマスター生産計画(MPS)や製品生産のために必要な原材料などを特定した資材所要量計画(MRP)などに落とし込む業務です。計画業務では経営層、営業・マーケティング部門、ファイナンス部門などを巻き込んで全社的に周知され、部門間で連携が取れた計画を策定します。

実行業務

計画業務にて策定した計画に基づき調達や生産、物流業務を実行に移します。計画に対して実績をトラックし、予実に差異があれば対応するための策を講じます。また、現場オペレーションで問題が発生した際も計画通りに業務が遂行できるように修正を図り、必要に応じて各部門と協力し、需要や供給の調整を図ります。

管理業務

予実分析を行い、予測がずれた要因の特定やKPIの基づき生産能力や供給リードタイムなど現場オペレーションの評価を行います。その後、分析結果を活かして需要予測モデルの改善やオペレーション業務の改善を図ります。

SCM職に求められる役割

企業内連携の強化

SCM業務では全社を巻き込んでの計画策定や部門をまたいでの調整などが含まれます。各部門から集められた情報をもとに需要予測や計画が立てられるため、部門横断の連携が強いほど精度の高い計画となります。高精度の計画は不要な生産や在庫を減らすことに繋がるため、生産性の高いオペレーション構築が可能になります。

競争力の醸成

倉庫や製造拠点の配置を効率的に行うとともに輸送網の整備を行い、最適なサプライチェーンネットワークを構築することが求められます。物流コストの削減やリードタイムの短縮は企業の競争力強化や顧客満足度向上に繋がるため、重要な役割を担います。

リスクマネジメント

国際情勢や地政学を考慮したネットワークを構築することで自然災害や戦争などが発生した際でも企業活動を継続できるような組織体制の強化を図ります。また、サプライヤーや顧客と密なコミュニケーションを図ることでサプライチェーンの上流または下流で起きた問題の情報共有が円滑となり、迅速な対応が可能となります。

SCM職で求められるスキル

分析力

大量のデータを分析し、傾向やパターンを把握する能力が必要です。データ分析ツールやテクニックを理解し、需要予測、在庫最適化、供給計画などの活動に活かすスキルが求められます。

コミュニケーション能力

SCM業務では多くの部門や関係者との連携が不可欠です。各関係者と良好な関係を築き、協力を得ながら業務を推進する能力が求められます。サプライヤーや顧客との交渉も発生するため、双方の利害を俯瞰した提案力も必要となります。

問題解決能力

サプライチェーンは自社で管理できる範囲を超えた広域なものであり、計画通りに進まないこともしばしばです。問題に直面した際は柔軟に対応することが求められます。原因を特定し、制限されたリソースの下で対策を立て、解決する能力が必要です。