SCM職の役割と仕事内容

SCM(サプライチェーンマネジメント)は、製品やサービスの生産段階から消費者に届けられるまでの全過程を統合的に管理するためのアプローチです。このページでは、サプライチェーンの管理や最適化を担当するSCM職の役割と仕事内容について解説していきます。

SCM職の役割

グローバル化が進む現代において、貨物(原材料や製品など)の輸送はボーダーレスに行われるのが主流とっています。また、貨物の輸送範囲が拡大し複雑化するサプライチェーンを効率良く管理する事は、コストの削減やリードタイムの短縮、サービス品質の向上などに繋がります。SCM職は、そんな企業が持つ競争力の根本に直結する役目を担っています。

SCMに求められる能力・スキル

■ 分析力

大量のデータを分析し、傾向やパターンを把握する能力が必要です。データ分析ツールやテクニックを理解し、需要予測、在庫最適化、供給計画などの活動に活かすスキルが求められます。

■ コミュニケーション能力

SCM業務では多くの部門や関係者との連携が不可欠です。各関係者と良好な関係を築き、協力を得ながら業務を推進する能力が求められます。サプライヤーや顧客との交渉も発生するため、双方の利害を俯瞰した提案力も必要となります。

■ 問題解決能力

サプライチェーンは自社で管理できる範囲を超えた広域なものであり、計画通りに進まないこともしばしばです。問題に直面した際は柔軟に対応することが求められます。原因を特定し、制限されたリソースの下で対策を立て、解決する能力が必要です。

SCM職の主な業務内容

一般的にSCMは「サプライチェーンネットワークデザイン」、「計画業務」、「実行業務」、「管理業務」の4つの業務に分類されます。企業によっては各業務を細分化し、それぞれの業務に特化した部門を設置する場合があります。

サプライチェーンネットワークデザイン

製品の製造拠点や配送ルート、倉庫の配置、在庫配置、輸送方法など企業活動の基盤を構築する業務です。これらのネットワークは一度定めると容易に変更することができません。また、製品供給のリードタイムやコスト構造に大きな影響を与えるため、ひいては顧客満足度や企業の競争力の源泉となります。

計画業務

企業戦略や過去の売上データに基づき需要予測を立てることから始まり、生販在計画(PSI)やS&OPの作成、更にそれらを製品単位毎のマスター生産計画(MPS)や製品生産のために必要な原材料などを特定した資材所要量計画(MRP)などに落とし込む業務です。計画業務では経営層、営業・マーケティング部門、ファイナンス部門などを巻き込んで全社的に周知され、部門間で連携が取れた計画を策定します。

実行業務

計画業務にて策定した計画に基づき調達や生産、物流業務を実行に移します。計画に対して実績をトラックし、予実に差異があれば対応するための策を講じます。また、現場オペレーションで問題が発生した際も計画通りに業務が遂行できるように修正を図り、必要に応じて各部門と協力し、需要や供給の調整を図ります。

管理業務

予実分析を行い、予測がずれた要因の特定やKPIの基づき生産能力や供給リードタイムなど現場オペレーションの評価を行います。その後、分析結果を活かして需要予測モデルの改善やオペレーション業務の改善を図ります。

国際物流におけるSCM職の位置づけ

複雑化するサプライチェーンへ企業を最適化させる為の要

SCM職は国際物流業界にける事業戦略の要となる職種の1つです。SCM職は、複雑化するサプライチェーンにおいて企業の中心となり各プロセスでのパフォーマンス向上を実現させます。デジタル技術の活用(IoTやビッグデータ解析、AIなどの導入)やサプライヤーとの関係構築、サプライチェーン設計と全体の可視化、リスク管理コンプライアンス強化など、SCM職が関わる業務は多岐に渡り、SCM職は国際物流全体のプロセスにおいて重要な位置づけにある職種といえます。

SCM職を通して得られる経験

■ 総合的なビジネススキルの習得

サプライチェーンの最適化には、市場動向やリスクを考慮しながら長期的な視点で戦略立案と計画が必要とされます。またテクノロジーを利用したビッグデータ解析や需要予測を行うことも多く、データに基づく意思決定が重要となります。このような環境は、ビジネス全体の流れやビジネスに必要な基本スキルに対する理解を深め、人材が持つ総合的なビジネススキルの向上に繋がります。

■ 総合的な管理能力(プロジェクトや人の管理)

サプライチェーンでは、各プロセスの管理(プロジェクト管理、交渉、予算管理、リスク管理、問題解決など)を適切に行う事が求められます。また、サプライチェーンの現場では、他部署や外部パートナーと協力してプロジェクトを進める事も多い事から、SCM職は総合的な管理能力を伸ばせる環境を持っていると言えます。

■ グローバルな視野の獲得

サプライチェーンの性質上、SCM職は様々な国の事業者と連携を取る事も少なくありません。この特殊な環境は、人材が持つ国際ビジネスへの理解(ビジネスマナーや文化背景など)や国際的なマーケット(各国の市場動向、競争状況、消費者動向など)に対する広い視野の獲得にも繋がると言えます。