
そもそも物流とは商品(物)が生産者から顧客まで届けられるまでの一連の流れを指し、物流のお仕事は「輸送」「保管」「荷役」「包装・加工」「情報管理」の5つのプロセスによって構成されています。一連の物流フローに携わる職種は多岐に渡り、どのプロセスに関わるかにより、必要となるスキルは異なります。本記事では物流業界の現業部門に着目し、各業務の概要と求められるスキルをご紹介いたします。
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物流業界の職種
物流業界では基本的に「管理部門」と「現業部門」に職種が区別されます。管理部門は人事や経理など業界を問わず会社運営に必須のバックオフィス業務です。一方、現業部門は自社サービスを提供し、利益を得るための業務です。物流業界では下記が現業部門に該当します。
管理部門
- 人事
- 経理・財務
- 総務
- 法務
- IT
現業部門
- 営業・マーケテイング
- 貿易事務
- 輸出入オペレーター
- 通関士
- 倉庫管理・オペレーター
- ロジスティクスエンジニア
営業・マーケティング
新規顧客の獲得や既存顧客との関係を深めることで案件の受注に繋げるポジションです。企業活動の出発地点であり、利益を得る上で最も重要な職種の1つです。
職種:営業、マーケティング、物流コンサルタントなど
運行管理
実際に商品を輸送するプロセスにおいて、発地から顧客のもとへ商品を届ける計画策定・管理を行うポジションです。輸送手段の手配やルートの策定などが業務に含まれます。
職種:シッピングコーディネーター、輸出入オペレーター、運行管理者など
管理運営
主に物流センターや倉庫において、荷役、保管プロセスに携わり商品の品質管理・在庫管理・入出庫管理を行うポジションです。通関業務や貿易事務もこの管理運営業務の一部と言えます。
職種:通関士、倉庫オペレーター、貿易事務など
操業改善
データ等に基づき、各業務プロセスの改善や見直しを図るポジションです。仕入れ先の再選定や商品保管場所の見直しを図り、サプライチェーン全体の効率化を図ります。近年ではRPAやAIロボットを活用したコスト削減、省人化の取り組みも活発になっています。
職種:SCM、エンジニアなど
各職種で求められるスキル
営業・マーケティング
物流営業
相手のニーズを引き出す傾聴力や自社の提案を選んでもらうためのプレゼン能力、交渉力は重要な要素と言えるでしょう。また、輸送プロジェクトはカスタマーサービス部門、通関部門、倉庫部門、顧客の物流部門など社内外の多くの関係者を巻き込んだ大規模なものです。商談の際に提案した内容に沿って業務が実行されますが営業担当者は顧客との窓口として報告などの責任を負います。そのため、各関係者と密にコミュニケーションを取り、計画に対しての進捗管理を行い、納期通りの業務遂行を主導する能力が求められます。
運行管理
輸出入オペレーター
限られた予算や期日内で安全かつ着実に商品の輸送を成功させるために現存のリソースを最適に組み合わせる能力が必要です。その過程において、不測のトラブルが起こることもしばしばです。状況に合わせて臨機応変に対応できる人材が求められます。
管理運営
通関士
複雑で高い正確性が求められる通関手続きを遂行するために関税や輸出入に関する法律や規制に関する知識に加え、関係各所と連携を取りマルチタスクで業務を遂行する能力が求められます。また、国や地域により法規制は異なり、日々更新されていくため、新たな知識をキャッチアップする姿勢が求められます。
貿易事務
貿易書類の作成を主に行う貿易事務のお仕事も通関業務と同様に高い正確性が求められます。航空輸出入を担当する場合は輸送リードタイムが短く、納期が非常に厳しい傾向にあり、素早く処理する必要があります。状況に応じて、適切に優先順位を付け、効率化に業務を遂行する能力が必要です。
倉庫オペレーター
貨物にダメージなく、納期通りの輸送を実現するために貨物を直に取り扱う倉庫オペレーターは重要な役割を果たします。基本的にチームとして作業に当たることが多いため、円滑な情報共有・連携のためにメンバーと良好な関係を築く能力が求められます。また、業務に使用するフォークリフトなどの機器の操作能力も重要なスキルと言えます。
倉庫管理職
国籍、年齢を問わず多くの方と関係を構築し、管理するため、優れたコミュニケーション能力が必要です。また、改善業務では現場状況やデータなどから課題を特定し、施策を立案・実行する能力が求められます。近年ではIoT機器やロボットなどを駆使しした省人化・業務効率化の手法も開発されるなど、テクノロジーの隆興が激しく、それらの知見への高い感度を持つことも重要です。
操業改善
SCM
業務の効率化やコスト削減を図るために、どのプロセスに改善の余地があるのかを見極め、その課題を解決する能力が求められます。そのためにもデータ分析やERP・WMSなどのシステムの知見を得ることが推奨されています。また、目的達成のために現場で働く従業員やサプライヤーとの折衝も避けられません。高い交渉力やコミュニケーション能力も必要不可欠と言えます。
物流業界で役立つ資格
運行管理者
国土交通省が認定する国家資格であり、運送会社でドライバーが安全に運行できるように、指示・管理するのが主な役割です。
フォークリフト運転技能者
最大荷重1t以上のフォークリフトを運転するのに必要な国家資格です。倉庫での貨物の運搬等の「荷役作業」の際に活躍します。
危険物取扱者
消防法で定められた「危険物」を取り扱うときに必要な国家資格です。石油・薬品・燃料関連を扱う工場や研究施設などで定期点検、保安の監督が可能となります。
ロジスティクス管理
ロジスティクスとは物流フローの運営のための仕組みを指し、「ロジスティクス管理」は生産・販売計画・在庫状況等を調整する需給管理等を把握する業務管理に関する知識を体系的に身につけることができる資格です。
ロジスティクスオペレーション
倉庫などでの荷役・保管、流通加工・包装、輸配送管理業務に関する知識を体系的に身につけることが可能です。
倉庫管理主任者
「倉庫」における火災の防止や倉庫内業務に従事する労働者の労働災害防止管理に関する業務に携わる方向けの資格となります。
通関士
貿易に関連した唯一の国家資格であり、輸出入の際に税関へ提出する通関書類の作成や、通関手続きに関する法律事項等の知識を備えた貿易のスペシャリストとして物流会社、商社、メーカー等へ活躍の場を広げることが可能です。
国際航空貨物取扱士(IATA/FAATAディプロマ)
国際航空貨物の運送状・輸送スケジュールの作成や運賃計算、その他様々な手続きについての知識を問う資格です。世界的に広く浸透している資格のため、日本のみならず海外就職の際にも役立ちます。
貿易実務検定(C、B、準A、A級)
貿易書類作成等の実務において必要となる知識および英語力がどの程度身に付いているかを客観的に測るための検定試験です。輸出・輸入業務の流れ、貿易関連の法律の習得が可能です。
まとめ
本記事では物流業界の現業部門に焦点を当て、業務区分ごとに求められるスキルをご紹介いたしました。物流業界は社会貢献性が高く、グローバル化やECの台頭により更なる需要が見込まれる成長産業です。ご自身のスキルを活かし、キャリアアップを実現できるチャンスが溢れています。
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