
グランドハンドリングとは?
グランドハンドリング(Ground Handling)とは、航空機が地上にいる間に行われる支援業務の総称で、略して「グラハン」とも呼ばれています。出発前の準備から到着後の処理まで、航空機を安全かつスムーズに運航させるための重要な仕事です。また、荷物の積み間違いや誘導ミスは大事故につながるおそれがあるため、グランドハンドリングでは確認手順や指差呼称などの安全ルールが徹底されています。
航空機の運航は当たり前のように見えますが、その裏では、グランドハンドリングスタッフが荷物の搬出入、誘導、搭乗橋の操作などを分刻みで行っています。航空会社や空港会社が直接担当する場合もありますが、ANAエアポートサービスやスイスポートジャパンなどの専門会社に委託されるケースも少なくありません。また近年では、AIやIoT技術を活用した自動化が進んでいて、AGV(自動誘導車両)による貨物搬送や電動グランドサポート機材(e-GSE)の導入も進んでいます。
グランドハンドリングの主な業務内容
グランドハンドリングの業務は、大きく「ランプハンドリング」「パッセンジャーハンドリング」「カーゴハンドリング」の3つに分けられます。
■ ランプハンドリング
航空機が駐機場(ランプエリア)にいる間に行う作業です。マーシャラー(空港地上作業員)が発光棒を使って航空機を誘導(マーシャリング)し、安全な位置に駐機させます。その後、ランプサービススタッフが貨物や手荷物を積み降ろし、機体清掃や給油、プッシュバック作業を行います。
■ パッセンジャーハンドリング
搭乗客の受付や移動をサポートする業務です。チェックインカウンターでの対応、搭乗券の発行、搭乗橋の操作などが含まれ、旅客がスムーズに移動できるよう支援します。
■ カーゴハンドリング
航空貨物を扱う業務で、生鮮品や医薬品など温度管理が必要な貨物(ペリシャブルカーゴ)や危険物貨物なども含まれます。貨物の積み下ろしにはULD(Unit Load Device)と呼ばれる専用コンテナやパレットを使用し、輸送効率を最大化させます。
また、航空機の到着から出発までの一連の作業を「ターンアラウンド」と呼びます。 到着時にはマーシャリングで航空機を誘導し、乗客の荷物を降ろして清掃や給油を行います。その後、次便に向けて新しい貨物や手荷物を積み込み、最終確認のうえでプッシュバックを実施します。これらすべての作業が連動しており、1つの遅延が全体のスケジュールに影響するため、スピードと正確さの両立が求められます。
グランドハンドリング業界で働くには?
特別な学歴は必要ありませんが、空港内での安全教育や「空港内運転許可証」などの資格が求められます。24時間体制のシフト勤務が多く、体力や集中力が必要です。航空機が好きな人、チームで協力して働くのが得意な人に向いていて、未経験からスタートできる求人も多いです。
またグランドスタッフと混同される仕事の中に「グランドスタッフ(空港業務)」がありますが、グランドハンドリングは「航空機を動かす」仕事であるのに対し、グランドスタッフは「人を動かす」仕事が主となっています。